Creature Comforts

慢性的中二病

猿の惑星:新世紀(ライジング) ネタバレ有

いや、完全になめていた。本気で素晴らしい映画でした。

 

人間対猿の対決は完全に今現実問題で起こっている民族問題の縮図となっていて、なにがきっかけで争いの火種がおき、対立が解決しないのか、その根深さが分かりやすく描かれていた。

人間とサルの間でも一部友好的な関わりあいがあって、話せばわかるよねって雰囲気を醸し出すんだけど、お互いの内面に含む圧倒的なまでの「臆病さ」と、それからくる不信感がこうした種族の対立問題を複雑にさせていく描写が細かくて素晴らしい。

特に今回悪役となった猿のコバ。最初は仲間を守るという目的をもって人間とたたかわなくてはならない、というスタンスだったはずなのに、だんだんとダークサイドに落ちいていく過程で何が何だか分からなくなった結果、人間を滅ぼすという「方法」が「目的」になっていっていく流れが悪役としてとても魅力的。そしてこういうことって民族問題でよくみられる現象ですよね。近視眼的な発想が行き過ぎると優先順位がひっくりかえってしまうところとか。

ただこのコバにも事情があって、まだ人間が支配していた時に虐待を受けていた過去があり、根深い人間に対する恨みをもっている、というのがとてもさりげなく描かれていているあたりがとてもよい。きちんと細部のリアリティをもったSFはこのうえなくよい作品になるんですよ、これが。

こいつはかなりお勧め度が高い作品になります。