深見 真『ゴルゴダ』
- 作者: 深見 真
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/07/02
- メディア: 文庫
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愛する妻を殺害された元自衛官の復讐劇。最初は残虐な少年が悪く書かれすぎているので、いわゆる勧善懲悪的な、復讐されたやつらざまぁで終わりそうに感じた。しかし読み進めていくうちに復讐鬼真田のことの進め方の潔癖っぷりに怖ろしさを読者自身、感じるようになっていく。
実はこの物語の肝でもある加害少年たちの復讐のシーンがしっかりかかれているのは少ない。大体は復讐後の無残な形としてしかかかれていないのだが、唯一その描写がしっかりと描かれたときの描写がまさに真田視点になっていたと思う。音や痛みといった拷問時の感情を揺さぶるようなものはなく、ただたんたんと料理でもするかのように、体が痛められ切られていく様が描かれていたのがとても印象的だった。
この事件の裏では、少年犯罪刑法の未熟さとか、実は日本政府の陰謀があったなどの補足的描写もあるのだが、それを超越するような真田の存在感で独占させられていくだろう。