ηなのに夢のよう DREAMILY IN SPITE OF η (講談社文庫) [文庫] 森 博嗣 (著)

ηなのに夢のよう　DREAMILY IN SPITE OF η (講談社文庫)

おなじみ真賀田博士シリーズの理系ミステリー、文庫最新刊。
シリーズを飛び飛びでしか読んでない私が言う資格はないものだとわかりつつも、もはや真賀田博士の存在自体が反則でしかないこのシリーズで、どんなトリックがでてもなんだか納得させられてしまうような、そんなお約束感で満たされてしまいました。
特に中盤に出てくる「自殺」と「社会性」の論理的考察などはもはやお家芸といったレベルで、こうしたところどころに含まれる論理展開のスパイスが、本屋で並んでいたらなんとなく買ってしまう「中毒性」の原因なんだろうなと考えたりします。
今回にいたってはミステリの種明かしこそあるものの、少しぼんやりとした、可能性レベルでのトリックで終えられてしまい、どうしても不完全燃焼間が残ります。シリーズ全体通しての伏線であるならば納得できなくもないのでぜひ続きを読みたく感じました。
といいますか、シリーズの起源である、「すべてがFになる」を読み直してみたいとも思ったりして、今読めば少し感想が変わるのかもしれません。たぶん、いい意味でだと感じています。