Creature Comforts

慢性的中二病

梅棹忠夫『知的生産の技術』

知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)


これを書いているときから40年以上前に書かれたLifehack書。主に情報の整理とそのアウトプットについて書かれている。
それだけの間が開いいるにも関わらず、いまだ使える「技術」が多いことに驚かされる。カード整理術は40年たった今でもアイデア整理方法として書かれている本を見かける。しかしそれよりも面白いのは、40年たってしまって「直接的には」利用することができない技術である。
顕著なのは「ペンからタイプライターへ」の項目。著者は書きの手段としてタイプライターを薦めている。しかしタイプライターには漢字変換の機能などはさすがになく、日本語が不利であることを述べている。そこで紹介しているのがローマ字論という、日本語の書き言葉をいっそすべてローマ字にしてしまおうという派閥である。Tsumari Kouiu Kakikata wo Kyouyou-Go ni Shiteshimau toiu Keikaku. 今となってはトンデモに思えるのだが、タイプライターの「生産性」からこういったことが真剣に語られるのは興味深い項目であった。
とんでもな部分を強調したが、最初に述べたようにこの内容は今にも十分応用でき、なにより文章がとても読みやすい。今より情報過多ではないにしろ、情報が人間の許容量を徐々に超えてきて、アウトプットのための整理が必要になりはじめぐらいの技術論は見といて損はない。