とある魔術の禁書目録
- 作者: 鎌池和馬,灰村キヨタカ
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/06/10
- メディア: 文庫
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前回と前後してしまってますが・・・。久々の学園都市での魔術側の話な気がしますね。
前回のエントリにも書いてますが、本ストーリーに共通する正義感に関してちょっと違和感を覚えていたりします。それは、自分のピンチを仲間に伝えず、助けを求めず、己で解決していく、という正義感です。一番分かりやすい例は上条のインデックスに対してしている記憶喪失の隠し事、といったもの。個人的に正義は仲間と解決して何ぼのものだという気持ちがあるので、この正義は果たして正しいの?という問いがあったりします。
本回はその問いに対し2通りの回答を用意しているのが印象的でした。ひとつは、本作で一貫している信念、「仲間に助けを求めない」という正義を上条が美琴に発しております。病院から抜け出して敵地に向かうフラフラの上条、とめる美琴。しかしここで本当にとめることもなければ、学園都市第三位の超能力に協力を要請しませんでした。今まで、「ピンチを黙っている」ということは多かったですが、「ピンチを仲間に見られた上で、そのまま協力しない・してもらわない」というパターンはなかったです。なんか一個突き抜けた感じ。
一方で、別の回答・仲間に助けを求める、というのも用意されています。それはアックアと闘い、苦戦を強いられている神裂が、ついに天草式のメンバーに助けを求め撃退するといった流れで書かれています。
個人的には後者の正義のほうが美しいと思っており、それをわかりやすく描いていたのはとても喜ばしいです。一方で主役上条が今までどおりの正義を突き通しているところに、やっぱり一筋縄じゃいかない、もどかしさ、しかしながらそれを楽しんでいる自分を見つけていたりします。