Creature Comforts

慢性的中二病

「恥知らずのパープルヘイズ」感想

個々最近話題が多いジョジョの外伝を買ってしまった。久しぶりのハードカバー。

この本の主人公について簡単に説明させてもらうと、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第五部 黄金の風編で出てきた、パンナコッタ・フーゴのその後としてのスピンオフ作品になる。このパンナコッタ・フーゴは5部の主人公、ジョルノジョバーナの仲間としてともに死闘を繰り広げた仲間であったのだが、そのチームが下した重大な方針についてついていくことができず、チームを離脱する形で物語からいなくなった。

この方針は私の中でインパクトを大きく残し、ジョジョ仲間と語るときは必ず登場する人物の一人になる。ある意味、臆病者、としての扱われ方がしやすいキャラクタでもある。*1

前置きが長くなってしまったが、早速この物語の感想に入る。この物語の軸となるのは、やはり裏切り者、臆病者としてチームを離脱したときのフーゴの葛藤になるかと思う。彼が突然突きつけられた選択肢は衝動的な正義感のみに動く尊敬するボスの突然の決断についていくか、否かというものであった。その否という選択視を選んだ彼の判断が果たして悪いことなのか、という当然の葛藤が軸となる。
まず、戦闘の描写はもう少し気を使ってほしかったとも思う。ただでさえ、スタンドの戦闘という漫画的な部分の描写はどんなに細かく書いても書ききれない部分があるだろう。戦闘シーンは総じて状況が把握しにくい描画だったと思う。
また、このストーリーにはジョジョの五部が好きなものにはうれしい、名場面の回想が繰り出され、敵・味方を含めて5部のキャラクターがよみがえる。名シーンが目白押しでもある中で、一つはずしてはいけない回想場面があるはずなのに、そこが書かれていない。それは、フーゴが唯一見せた戦闘、イルーゾォ (スタンド名「マン・イン・ザ・ミラー」)とのバトル戦である。死闘を制し、新入りで信用ならなかったジョルノの覚悟を見せ付けられたフーゴがはじめて、分かりやすくジョルノに敬意を示すシーンがある。そこは今回の葛藤を克服する中で、絶対外してはいけない場面であるだろう。

しかしながら、今回のミッションをフーゴの成長がみられ、その成長を通して彼の過去の選択を彼自身が改めて再判断する、それにあわせて彼の扱いにくいスタンドも成長をして敵を倒す原動力となる。彼の「克服」ストーリーとともに活躍がみられたことはとてもファンとしてとてもうれしい一冊になった。ジョジョ五部ファンには是非読んでいただきたい。

*1:個人的には、彼のスタンド、パープルヘイズが味方のスタンドしてはかなり使いにくくなってしまったために、作者があえて、はずしたのではないかというのが仲間内との説であった。