Creature Comforts

慢性的中二病

加藤一二三著 「羽生善治論」

2日連続の将棋新書エントリーになってしまったのだが、面白い本だったので。

これはよい本ですよー。

この本を端的に表すと「加藤一二三論」もしくは「羽生善治を鏡にして映った私加藤一二三論」。加藤九段ファンは必読。

加藤九段を知らない人はぜひ、下の電脳戦のゲスト解説のダイジェストを見てほしい。彼の魅力にひきつけられること間違いない。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm20745856

http://www.nicovideo.jp/watch/sm20745982

好々爺といったかんじだが、彼はものすごい実績の持ち主なのだ。73歳の現在も現役棋士を貫く50年以上もプロキシとして在籍する生き字引のような存在で、多くのタイトルも保持したことのある将棋戦士。

http://www.shogi.or.jp/player/kishi/katou.html

そんな彼が天才羽生を書くというのだからおもしろくないわけがない。実際に読んでみたところ予想以上の、「本人的にはさりげないつもりでも、とってもわかりやすい自分の自慢話」が満載だった。誤解ないようにしておくが、これは彼の魅力であり、私が求めていたものであって、皮肉るつもりは毛頭ない。

本書は、羽生三冠の過去の戦績や大勝負を、加藤一二三九段の過去と照らし合わせながら振り返り、羽生先生の天才性について分析していく。。帯の「天才が天才を語る」の文句はよくできたもので、羽生がなぜ天才なのかという分析は、同じ境遇を長年味わい続けてきた加藤先生に任せるほかないだろう。また、加藤先生と羽生三冠の過去の対決を振り返るところも見所だった。

そしてもうひとつ、あからさまにある森内名人との「不和」。森内名人とのエピソードがいくつかでてくるがどれもにじみ出るギスギスした空気感がたまらなかったです。モスグリーンwww

加藤先生の今後の活躍を期待しつつ、羽生三冠の語る加藤九段の天才性を書いた著をひっそりと待ち望んでみる次第です。